今後の日本経済を素人なりに考えます。
    経済に関する事を素人目で考察してみます。

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    ひーりん(heelin)

    Author:ひーりん(heelin)
    はじめまして。ひーりんです。
    男性。
    日本経済が今後どうなっていくのか興味がが有る、というか心配になって、いろいろな本やネットの情報を調べてみました。
    経済に関してはど素人ですが、好奇心だけで突き進んでみます!!^^;



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    量的金融緩和で鉱工業の生産高が増え、景気が刺激される経緯とは

    浜田氏の「アメリカは日本経済の復活と知っている」のP.61で紹介されている論文
    「量的緩和政策―2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析―」
    を紐解くと、今現在日銀が行おうとしている異次元量的緩和の今後が読み取れるかも知れません。

    前回、量的金融緩和によって鉱工業の生産高が増える事の、3つの変数のVARモデルでの証明を見ました。
    ではなぜ量的金融緩和によって生産高が増えるのか?論文の筆者がそれを証明する過程を見てみましょう。

    生産高、物価、金融政策変数という3つ変数に加え、金融変数を1つずつ増やした4変数のVARモデルでの、複数のインパルス応答関数を比較する事によって、何が景気を刺激するのかが明らかになります。

    ピックアップされた金融変数とは・・・
    ・さまざまな満期の名目利子率
    株価
    ・外国為替レート
    ・銀行貸出額
    です。

    論文では、これらのパラメーターによって導き出される12のグラフが比較されます。論文のP.68の図3「量的緩和ショックが金融変数に与える効果」です。
    http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list5/r99/r99_059_081.pdf

    これにより興味深い結果が明らかになります。銀行貸出以外については、まさに今現在日本経済で起こりつつ有る事、ほぼそのままの内容に見えます。
    ・最も顕著な結果として、量的金融緩和政策が一貫して株価を押し上げている。
    ・名目金利は低下しない。むしろ、長期金利は上がる傾向が見られる。
    円安に向かう。
    ・銀行貸出が減少する。
    ※ただし、銀行貸出については当時と今で異なります。2013年4月現在は、銀行貸出は前年同月と比べ若干しています。(一般社団法人全国銀行協会の報告書参照)
    http://www.zenginkyo.or.jp/stats/month1_01/entryitems/yokashi02361.pdf

    論文のP.70の言葉を引用すると、「量的金融緩和政策は株価を有意に上昇させ、円を若干減価させる。これら二つの効果は、ともに経済に拡張的な影響を与えると考えられる。他方、量的金融緩和政策は名目金利を上昇させ、銀行貸出を減少させるが、これは経済に拡張的な刺激を与えるものではない。」

    量的金融緩和で生産高が上昇した理由として、最も顕著な理由として、どうやら「株価の上昇」と言う事が分かりました。
    株価の上昇によって生産高が増加する理由としては、
    株価が上昇する事によって家計の富が増加し、その富の増加が消費を増加させる。
    ②Tobinのqが高くなることによって企業の投資が増加する。
    これらが主な理由であると、論文中では推測されます。ただし、
    ③借り手の外部資金プレミアムが低下する事によって銀行貸出が増加する。(株価上昇によって企業価値が上がり、資金が調達しやすくなる。)
    ④銀行の自己資本比率が改善される事によって銀行貸出が増える。
    という③④の理由については、2001年~2006年当時の日本経済においては株価上昇の理由として弱いとされます。
    しかし、当時と比較して今現在の銀行は不良債権処理もすすんでおり、③~④も鉱工業生産高の増加につながりうるかも知れません。

    しかし不思議です。
    ・なぜ、株価が上昇するのか?
    ・なぜ、長期金利が上がるのか?
    ・なぜ、2001年~2006年の銀行貸出は減少したのか?


    論文は、これらの理由にも答えます。
    次回はその理由について見てみます。



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    量的金融緩和は鉱工業の生産高を増加させ、景気を刺激する

    「量的緩和政策―2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析―」
    この論文の中で、筆者が量的緩和政策が生産高水準を持続的に増加させる、と結論付ける過程を見てみます。

    筆者はまず、生産高、物価、金融政策変数という3つの変数でのVARモデルで検証します。

    【前提】
    標本期間      : 2001年3月~2006年2月
    生産高のデータ  : 鉱工業生産指数(IIP)=日本の鉱業・製造業の活動状況を総合的に表す指標
    物価のデータ   : コア消費者物価指数=全国の世帯が購入する各種の財・サービスの価格の平均的な変動を測定するもの(ただし「コア」は、天候に左右されて変動の大きい生鮮食品を除いたもの。)
    金融政策変数   : 日銀当座預金残高の目標額。(2001年3月~7月の5兆円にはじまり徐々に金額を増やし2004年1月~2006年2月には32.5兆円であった。)

    生産高・物価・金融政策変数という、3変数のVARモデルでのシミュレーションにより、「3点の興味深い結果が得られた」とされます。
    論文のP.68図2に、インパルス応答関数のグラフが有ります。
    http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list5/r99/r99_059_081.pdf


    VARモデルシミュレーションによる、3点の興味深い結果
    第一に、量的緩和ショックが生産高を持続的に増加させる結果が出ました。特に、量的金融緩和をはじめて2カ月後から増加し始め、8ヶ月後にピークを迎えるという結果が得られ、若干のタイムラグが生じる結果となっています。

    第二に、量的緩和ショックに対する消費者物価の反応が非常に小さいという結果が出ました。「日銀はデフレを回避する為に量的緩和政策を採用したが、量的緩和政策が一般物価を上昇させるのに成功したという統計的な証拠を得ることはできなかった。」と述べられています。つまり、量的緩和政策は物価の上昇、デフレ脱却には必ずしも特効薬とはなり得ない、と暗に述べられています。

    第三に興味深いのは、日銀の当座預金の残高の動向です。消費者物価が下がれば日銀当座預金残高は上がる。しかし生産高の増減に対しては日銀当座預金残高はほとんど反応無し。これは、日銀が生産高よりも物価に力点を置いて政策運営を行ったという事がシミュレーションにより証明され、日銀の公式声明と合致している・・・と筆者は分析しています。

    ここまでで、量的金融緩和は鉱工業の生産高を増加させる。ただし物価は簡単には上がないのでデフレ脱却という意味では特効薬的な効果は薄いといえる・・・という事がわかりました。
    しかし、鉱工業の生産高を増加させ、景気が刺激される事は確かなようです。

    なぜ、生産高が上がるのか。その経緯をこの論文の筆者は追及します。次回、それを追ってみます。



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    「流動性の罠」「ポートフォリオリバランス効果」「シグナリング効果」「VARモデル」とは?

    浜田宏一氏の「アメリカは日本経済の復活を知っている」のP61で、ゼロ金利下での量的緩和政策が景気回復に有効である事が主題の論文に示されている、と出てきます。しかし、本の中にはその内容の片鱗も出てきません。論文の内容を素人なりに紐解こうと思います。
    今回は、論文の【1.はじめに】に出て来る難しい言葉の意味を調べてみました。

    ※1「流動性の罠」
    金利が十分に下がりきっており、それ以上は金融政策を行っても金利が下がらない状態。
    金利をたとえゼロにしても、投資の需要が無く借り手も無く、融資のお金が流れない。(マネーストックが増えない。)
    金利がゼロなので、銀行に預金する利子も意味が無くなり、銀行にお金を出し入れする煩わしさより、現金でお金を持ったほうが利便性が高くなってしまう状態。(上記の融資のお金が流れない事に対して、預金のお金が流れない状態。)

    ※2「ポートフォリオリバランス効果」
    日銀の量的金融緩和政策の過程で、銀行の貨幣以外の資産が減少し、その代りに日銀当座預金が増える。(例えば日銀の公開市場操作で銀行から国債が買われると、銀行は国債という資産が減少して日銀当座預金が増える。)日銀当座預金は金利も何もなく、寝かしておいても何の意味もない。銀行は貨幣以外のなんらかの資産を購入し、そのポートフォリオ(安全資産とリスク資産の最適保有率)を元に戻そうとする。つまりポートフォリオのリバランスの動きである。
    銀行のみならず、投資家においても同様の動きをすることになり、何らかの資産が購入される事になる。何らかの資産とは、例えば株式だったり外債だったりである。株式の購入に向かえば株式市場が上昇する。外債であれば円安に向かう。つまり、この「ポートフォリオリバランス効果」が景気刺激効果を持つ。(実際、このポートフォリオ リバランス効果によって、2001年3月~2006年3月の量的金融緩和政策時の日本で株価が上がり景気刺激の効果が有った事を論文の筆者が指摘。)

    ※3「シグナリング効果」
    日銀が日銀当座預金の残高の目標額を引き上げ、その目標残高を実際に実現する事によって、短期国債の金利の低下を期待させ、実際に金利が低下する事。ゼロ金利政策を継続するという中央銀行の意思を市場に目に見える形で伝える。シグナリング効果が発揮されると、中長期国債の金利が低下し、実体経済が活性化する。

    ※4「ベクトル自己回帰モデル(VARモデル)」
    論文は、この分析手法を用いて現象を分析しています。この分析手法がどのようなものであるか・・・それを説明するのはとても難しいです。
    多数の変数を持った時系列を、確率を用いて推定する計算式・・・正しいかどうかわかりませんが、そのようなイメージです。
    論文の筆者たちは、「生産高」「物価」「金融政策変数」の3つの変数を基本として、それにもう一つの変数を付け加えたモデルをいくつか作成し、それを比較する事によって量的金融緩和の効果を導き出します。もうひとつの変数とは、「さまざまな満期の金利」「株価」「外国為替レート」「銀行貸出」です。
    最終的には、量的金融緩和により株価が上昇した事実を浮かび上がらせ、量的金融緩和が景気刺激に効果が有ったと結論付けます。


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    量的金融緩和における「ポートフォリオリバランス効果」で景気が刺激される。

    浜田宏一氏の「アメリカは日本経済の復活を知っている」のP61で、ゼロ金利下での量的緩和政策が景気回復に有効である事が、「量的緩和政策―2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析―」という論文に示されているとされます。しかし、本の中にはその内容の片鱗も出てきません。論文はどのような内容なのか。気になります。軽い気持ちでネットで検索すると、PDFの論文を見つける事ができます。しかし内容を読んでみると・・・経済の素人にはちょっと難解な内容でした・・・(汗)。
    しかし、がんばって紐解いてみます。

    論文のポイントと思われる部分を要約して行きます。

    ◆【1.はじめに】・・・ 量的金融緩和政策に効果が有るか、無いかの議論について
    短期金利がゼロ(あるいはほとんどゼロ)の時にマネタリーベースを増加させることが効果を持つかどうか、に対する理論研究には2つの見解が有る。1つは、量的金融緩和政策は効果が無いという理論。金利が下限に到達した状況では、貨幣が国債の完全な代替資産となり、貨幣供給の増加に効果がでないというもの(Hicks 1937)。これを、Hicksは「流動性の罠※1」と呼んだ。
    もうひとつの見解は、短期金利がゼロであったとしてもベースマネーの増加は「ポートフォリオリバランス効果※2」および「シグナリング効果※3」を通じて効果を持ち得る、というもの。(Bernanke and Reinhart 2004 他、さまざまな研究者がこれを唱えているらしい。)

    「量的緩和政策―」の論文の筆者によると、上記2つの見解は、それぞれの仮定の下では論理的に一貫しておりどちらも正しいと言います。どちらも論理的に正しいが、しかし実際に量的金融緩和政策を実施するとどうなるのか・・・筆者たちは、2001年3月から2006年3月までの日本の量的金融緩和政策を分析する事により、これを明らかにしようとします。分析する方法として、「ベクトル自己回帰モデル(VARモデル※4」という手法で評価されています。

    結論から言うと、論文では「量的金融緩和は、ポートフォリオリバランス効果によって日本の株価が上昇し、鉱工業の生産高を増やし、経済活動を刺激する効果が有った。しかし物価は上昇しなかった。」という事を導き出します。

    論文の内容、非常に奥が深いです。量的金融緩和でマネーがジャブジャブになると、株価上昇や円が円安に向かう過程など、興味深い内容も有りました。

    次回からも、少しづつ要約し紐解いていきたいと思います。
    ※1、※2、※3、※4・・・言葉の意味が難しいです。次回、まずはそれらの意味を紐解いてみます。


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